行政手続法と特定行政書士 (その2)

 前回からの続きだ。

 許認可行政における多事考慮の問題である。重任登記をしていない権利義務取締役の件と最低賃金法に関して、である。重任登記をしていない場合、重任登記をしたあとに謄本を提出することを申請者に求めるのは審査基準とは関係ない多事考慮である。また、最低賃金法で定めた最低金額を下回る場合には、常勤性を認めない、というのは多事考慮である。勿論、常勤の有無を判断する一つの材料として参考にするなら良いが、「最低賃金法を守っていないから許可を与えない」というのであれば多事考慮ど真ん中である。付言しておくと、取締役に最低賃金法の適用を促しているのは二重にいただけない。最低賃金法は取締役には適用されないからだ。我々行政書士にも新聞でも報道されたように不良行政書士がいるので行政の気持ちも分からないことはないし、我々行政書士も行政書士法に則り円滑な行政運営に協力しなくてはならない。しかし、行政による行政手続法違反は防ぐべきである。過度な疎明資料を求められたときは、行政手続法35条による行政指導であるので、必ず、35条通りの文書を発行して貰わなければならない。

 行政手続法が施行されてからは、「受理」或いは「一旦受付」との概念は無い。補正を促し、許可または不許可にするだけである。審査基準を満たさないと判断されるとき行政は許可してはならない。証紙代が雲散霧消するのは詮方ない。特定行政書士を有している行政書士は、不許可後に生じる業務、即ち、行政不服審査申請手続きがあり、そちらの方の報酬が高いことを頭に入れておかなければならない。私は、副会長時代の最後の4年間は「特定行政書士検討ワーキンググループ」の担当だったこともあり、何とか、行政不服審査の業務を受注しなくてはならないと常々思ってもいた。また、会員からは、行政手続法の論文的テキストを作るだけでなく、実際に行政不服審査申請手続きをして欲しい、とヤンヤヤンヤ言われていた経緯もある。但し、お客様に対し、不許可後の行政不服審査申立の報酬等を説明しておかなければならないのは当然である。もしも、行政が要求する疎明資料が不充分で申請書類を受け取らない場合にも諦めずに不許可覚悟で、郵送で送ろうと思っている。一年以内に行政不服審査申請をしてみたい。

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