激変する建設業界!知っておくべき最新実務

行政書士法人小出事務所発行
第3号
小出事務所 担当者より

平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。さて、改正建設業法の施行から半年が経過し、業界のルールは急速に厳格化しています。今回は、ここ1〜3ヶ月で発表された重要ニュースと、これからの夏場・秋口に向けて経営者様が今すぐ押さえるべきポイントを厳選してお届けします。

1.【標準労務費】対応が本格化

2025年末に施行された改正建設業法の目玉である「労務費に関する基準(標準労務費)」 について、中央建設業審議会から具体的な「労務費の基準値」が順次追加・更新されています。

実務への影響:直近の2026年3月末には、新たに内装や解体など11職種(34工種)の基準値が追加され、より幅広い業種で具体的な「適正な労務費確保のための基準値」が示されました。この基準値を著しく下回る金額での見積もり作成や、元請側からの不当な値引き要求(指値発注)は建設業法違反(ダンピング)とみなされる恐れがあります。適正な労務費を無視した過度な価格競争は、建設業法上問題となる可能性があります。今後は「国の示す基準値」をベースに、資材費や法定福利費を内訳として明示した「標準見積書」の作成・活用が実務の絶対条件となります。

2.【建設Gメン】監視体制を強化

国土交通省の「建設業法令遵守推進本部」が、2026年度の活動方針を打ち出しました。特に下請取引における「見積時の内訳明示」「不当な条件提示」に対する取り締まりが強化されています。

今すぐ確認したい事項:「一式」といった大雑把な見積もりではなく、上記の標準労務費を含めた内訳の透明性が強く求められています。2026年3月からは公共工事設計労務単価が14年連続で引き上げ(前年度比4.5%増) となっており、これらが適切に下請け業者や職人さんまで行き渡っているか、建設Gメンによる実地調査や指導の目がこれまで以上に厳しくなっています。

3. 【CCUS】導入活用が加速

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、2026年現在、公共工事だけでなく大手・中堅ハウスメーカーの民間現場でも「登録していないと参入できない」実質的な参加要件として定着しています。

経営者が取るべき対応:レベル判定手数料の「全額支援(無料)」制度が、2026年4月以降も当面の間延長されることが決定しました。通常であれば数千円かかる職人さんの能力評価(レベル2〜4への判定)を今なら無料で申請できます。先述の「標準労務費」とこの「CCUS」は深く連動しており、国交省は「CCUSのレベルに応じた適正年収(レベル4で550万〜719万円など)」の指標も改定案として打ち出しています。経営事項審査(経審)での加点対象になることはもちろん、優秀な職人さんを確保するためにも、この無料期間中にカード登録とレベルアップ申請を進めるのが得策です。

4.【経審改正】新設の「自主宣言」で5点加点!・・・も “とりあえず宣言”は要注意?

令和8年7月1日施行の経審(経営事項審査)改正により、新たな評価項目として「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度(通称:職人いきいき宣言)」がスタートしました。ポータルサイト上で自社の取組を宣言・掲載されることで、経審のW評点に「5点」が加算されます(P点換算で約7点アップ)。

ここがポイント:この「自主宣言」は、ただ書類を出せばいいというものではありません。宣言項目には、先述した「労務費の適切な確保・行き渡り」や「CCUSの導入・活用」といった、実態を伴う具体的な取組とそれを遵守する「誓約」が含まれています。万が一、宣言した取組(労務費の確保やCCUS活用など)が達成できていない、あるいは実態が伴っていないと判断された場合、以下のような厳しいペナルティやリスクが想定されます。

  • 経審点数の剥奪・一発ダウン(虚偽とみなされれば、さらに重い「不正行為」としての処分対象になる恐れも)
  • 「約束を守らない企業」としてポータルサイト等で公表されるリスク
  • 元請業者や発注機関(自治体など)からの信用失墜

5. プラスチック系資材の高騰に救済措置!ナフサ由来資材の設計変更特例がスタート

中東情勢の緊迫化や円安の影響を受け、ナフサ(原油由来の化学原料)をベースとする建設資材の価格が急速に高騰しています。これを受け、国土交通省は直近の2026年6月16日より、公共工事等を対象に「ナフサ由来建設資材の設計変更対応」の運用を新たに開始しました。

対象となる資材

塩化ビニル管(上下水道管など)
プラスチック系断熱材
その他、原油・ナフサの価格高騰を直接受ける各種化学資材

ここがポイント

  • これまでは「インフレスライド条項」などの高いハードルを越えなければ工事費の増額請求(設計変更)が認められにくい実情がありました。
  • 今回の特例運用により、急激な資材高騰が認められる場合は工期の途中であっても発注者に対して価格改定の協議・増額の手続きが行いやすくなりました。
  • 民間工事においても、この国の基準をベースに施主や元請業者へ価格転嫁の交渉を進める強力な「交渉材料(エビデンス)」として活用できます。

国土交通省プレスリリース https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002006803.pdf

6. 国交省が「夏季休工」の試行を今夏から順次スタート

深刻な人手不足と熱中症対策を背景に、国土交通省は2026年夏(7月下旬〜8月中旬)から「夏季休工」の試行を本格的に進める予定です。

注意点:現場がストップする期間を想定し、これまで以上に前倒しでの工程管理や、発注者との適切な工期交渉が重要になります。無理な工期での施工は、法令違反や離職リスクを高めるため、経営面でのスケジュール管理の見直しが必要です。

現在の建設業界は、資材高騰や人手不足を背景に「受注はあっても利益が出ない」という二極化の転換期を迎えています。これからの時代に選ばれる企業になるためには、「標準労務費に則った適正な価格交渉」と「CCUSの導入による職人の処遇改善」の2つをセットで進めることが、経審(経営事項審査)の点数アップや人材確保の面でも最大の武器になります。「自社の見積書が今の基準に合っているか不安」「CCUSの登録やレベル判定の手続きが面倒で進まない」といったことがございましたら、複雑な書類作成・申請の専門家である当事務所へどうぞお気軽にご相談ください。

事例: https://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kisha_02590.pdf

7. 都道府県ごとの「手引き・様式変更」にご注意ください

直近の4月〜6月にかけて、各自治体の建設業許可や入札に関するルール・様式の変更が相次いでいます。

事例(神奈川県): 4月から導入された「確認書類の厳格化(法人の定款添付の義務化など)」の経過措置期間が2026年6月末で終了しました。7月以降の申請からは猶予がありません。

事例(千葉県): 総合評価落札方式における「技術資料」の様式が新しくなっています。古い様式で出すと受け付けられないため注意が必要です。

ご相談・お問合せはこちら

お電話でのご相談・お問合せ045-664-5835受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]

    会社名

    お名前必須

    ご連絡先TEL必須

    メールアドレス

    ご住所

    詳細内容について