このコラムの対象は行政書士である。
特定行政書士の制度が出来て直ぐにその資格を得たが、その中心業務である行政不服を申し立てた経験は無い。
副会長の間は、建設環境部門以外、特定行政書士検討特別委員会の担当をしていて、「戦略的許認可申請」を纏め、行政手続法に沿って手続きをすることにより行政庁の恣意的な審査が抑制され、ひいては、国民の権利利益の実現に資することをかなり子細に説明した。神奈川県政策法務課にも訊きながら書き進めた。まだ、読まれていない神奈川会会員は、神奈川県行政書士会ホームページ業務テキスト欄に掲載されているので一読されたい。
審査基準、ガイドライン、手引き、等々の定義・意義についての意見も参考にしながらの執筆だった。審査基準(神奈川県の場合は、神奈川県行政手続情報閲覧サービスに各許認可の審査基準が掲載されている)は、行政指導とともに、行政手続法の要であるが、事務処理要綱である「手引き」を審査基準と勘違いしている行政書士が多いのは極めて残念である。行政手続きの安定性・秩序という意味では、手引きに沿って手続きを進めるのが望ましいが、審査基準ではないので、意見が対立した場合は審査基準に立ち返って抗弁しなくてはならない。
今現在、不許可、不利益処分案件を集めるため、神奈川会会員の交流サイトkgid に掲載し、呼びかけているが、中々思うように集まらない。また、当事務所顧客も不許可を貰い、その後、行政不服申立手続きをすることを厭う方が多い。「受付して貰えないなら、許可を失っても良い」との考えが支配している。実に日本人的である。抑々、行政手続法では、「受付」とか「受理」の概念は無い。許可か不許可の何れかを行政庁は迫られるのだ。行政庁は矜持を持って不許可にし、申請者は知性的に行政不服審査を申し立て、クールに争えばよいのである。前述の「戦略的許認可申請」において、冒頭、日本人の悪い気質として「寄らしむべし、知らしむべからず」の甘受を述べ、村社会のなかで培われた血脈であることを嘆いたが、アングロサクソン的行政手続法は、この日本人的心情を放擲することを前提にしている。
不許可案件、或いは、行政の不作為案件を抱えている方は、是非、ご一報頂きたい。
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