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適正労働推進のための指導処分
2024.04.24
日本行政書士連合会で建設・環境部門に関わっているので、セミナー等を通したり、直接、国交省へ行ったりして、国交省の役人と接触する機会が多い。
先日、国交省の局長等に講師をお願いしたが、実に気になる内容の件があったので紹介する。
現在、政府を上げて、賃上げや働き方改革を促進しようとしているのはご存じのとおりであるが、とりわけ、建設産業に関しては注力している。注文者の一方的な意向による指値発注や請負代金の減額要求など徹底的に排除していくようだ。請負代金や工期に関する取引内容について実施調査を行う 「建設Gメン」 の体制を拡充し、違反行為に対しては、建設業許可部局から指導監督を行うことにより、請負代金や工期の適正化を推進していく。
なお、今までは、調査対象業者は大臣許可業者に限られていたが、知事許可業者までもが対象となるとのことだ。建設業法第28条 ゛指示及び営業の停止゛ に関わってくると思われる。同条第1項2号の 「請負契約に関して不誠実な行為をしたとき」 に該当するときは、大臣又は都道府県知事は、当該建設業者に必要な指示をすることができる、となっている。なお、この指示に従わない場合は、第3項により、大臣又は知事は、その者に対し、営業の停止を命ずることができる、とある。
ただ、指示、営業の停止又は許可の取り消しといった行政処分の権限を許可行政庁に与えている関係上、「建設Gメン」は都道府県許可部局と連携して立会い調査をして、実際の指示・営業停止等の処分は許可行政庁が行うのではないかと推察される。
昭和のようにおおらかな時代は過ぎ去った。全ての業界で厳格な遵法が求められている。適正労働推進のため、優位な立場を利用しての下請け泣かせは、徹底的に排除されていくと思われる。
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