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演繹的業務と帰納的業務
2024.05.13
予め申し上げておきたい。この記事は、行政書士に向けて書いたものである。
以前にも触れたが、小出事務所コラム等を行政書士も読まれているようなので、ときには行政書士向けの発信もしたい。
行政書士の業務は多岐に渡る。許認可申請等と権利義務関係に分かれるのはご存じのとおりだ。ここでは、許認可申請等に関して述べたい。許認可申請は、建設業許可、経営事項審査、入札参加資格申請、産廃許可、一般貨物許可、宅建免許、農転、入管業務、風俗営業許可、自動車登録、車庫証明、帰化許可、宗教法人・学校法人許可等が上げられる。
多くの行政書士は、専門分野を持っている。建設関連業務主体の行政書士は、建設業許可、経審、入札資格申請、産廃許可を扱う。入管手続きを扱う行政書士は、その延長上である帰化申請も扱う。自動車登録を扱う行政書士は車庫証明も取り扱い、ときには、一般貨物許可申請も行う。行政書士の黎明期は、依頼のあった業務に関する手引書を読み、仲間に訊き、行政にも確認し、ガタガタしながらも何とか申請に辿り着く。すると同様の依頼があったりして、類似の業務から一つの法則性・規矩準縄を見出し始める。その繰り返しにより体系的に覚え始める。
多くの行政書士業務が、帰納的と言える。即ち、多数の具体的事案から法則を見出すのである。帰納的なものではあるが、手続きには温度差がある。依頼を熟すと同時に体系的な知識を早急に吸収しなくてはならない手続きもある。早目に演繹的理解を併せもたなくてはならない業務もある。例えば、建設業許可、経審などは、早目の体系的学習が必要であり、演繹的業務の要素も強い。関連事項が四方八方に伸び、そして、関わり合う。経験を積み重ねるのみならず、早期の体系的学習が理解を一層深める。これに反して、産廃許可や一般貨物許可申請などは、帰納的色彩が強い。兎に角、数を熟すことである。農転、入管手続きなども帰納的色彩が強い。経験することが肝要である。勿論、体系的学習も必要であるが、一つ一つの経験の積み重ねが、体系的学習に近い効果を生む。
登録し始めの行政書士は、各業務の特徴を得て取り掛かるのが良いと思う。帰納的か演繹的業務なのかを事前に知ってから臨むと無駄と精神的ストレスを軽減することが出来る。
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